詳細につきましては他の項目(レーシックのリスク:老眼との関係)でも述べておりますが、老眼は目の中の「調節力」の低下により起こるもので、40歳を過ぎた頃から近くの見えにくさを自覚します。衰えた筋肉を再び甦らせ強化することが困難なように、老化現象である「老眼」、つまりその調節力を回復させる手術は、残念ながら現在のところありません。レーシックでの角膜の削り方を工夫して、調節力の低下をカバーしようとする技術や、左右の屈折度数(視力)を少し変え、両目を上手に使って遠くや近くを見ようとする方法も開発されていますが、すべての方がこれにより満足な見え方を得られるわけではありません。従って、40代に差し掛かった方がレーシックを受ける際には充分な注意が必要です。つまり、遠くがしっかり見えることがご自分の日常生活に本当に便利なのか、よくよく考える必要があります。たとえば、近くは老眼鏡を掛けるから、とにかく遠くを見るときにはメガネなしで過ごしたいと言われてレーシックを受けた方がいらっしゃいます。この方は術後の見え方について充分理解した上、ご自分で選択されたことなのでとても満足されております。このように、手術後遠くや近くの見え方がどのようになるか、メガネがどれぐらい必要になるかなど、しっかりご理解いただけるのであれば、レーシックに年齢の上限はないと考えられます。
次に何歳からレーシックが可能なのか、について述べます。日本眼科学会のガイドラインでは18歳以上とされていますが、これは職種によって裸眼視力の規定があることを考慮しているからです。一般的には20歳前半まで、まだまだ近視が進む可能性があるので、できれば成人である20歳以上が望ましいと考えます。レーシックは近視化を止めるわけではなく、その時点での近視、乱視を矯正するだけです。つまり、近視を矯正して1.5になったとしても、その後の生活習慣などで近視が進み、3-4年後には0.7以下までに視力が下がってしまうこともよくあることです。このあたりをよく考え、低年齢で急いで手術をするのではなく、ご自分にとってどの時点でリセットする(近視を治し、正視にする)のが望ましいのかを慎重に決めていただきたいと思います。
施設によって多少の違いはありますが、一般的には、手術翌日・1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後・1年後です。その後は1年に1度程度の定期検査を受けることをお勧めします。手術翌日に何か普通とは違う状態があれば、3~4日後に診察が必要な場合もあります。手術後1週間は最も大切な時期なので、必要があれば通院ができる状況にしておいた方が良いでしょう。レーシックは手術翌日から良い視力となり、痛みや違和感も少ないので、定期的な検診が必要なのか疑問に感じる患者さんもいますが「見えてえているから問題なし」という訳ではありません。視力だけではなく、角膜の炎症や点眼薬に対する反応、ドライアイの程度などのチェックが必要なのです。また、非常にまれですが、数年が経ってから角膜の形が変形して乱視が強くなってくる病気があります。早期に発見できれば変形を止める方法はありますが、進行してしまうと簡単には治せなくなってしまいます。そうした意味からも年に1回の定期検査は大切なのです。
手術後、目の状態は手術後3ヶ月程度で安定します。レーシックを受ける前までは、メガネやコンタクトレンズでの生活だったので、目の使い方によっては眼精疲労やドライアイなどの症状が出ることもあるでしょう。そうした症状がある時には、定期検査の際に担当医に相談し、適切なアドバイスを受け、必要であれば点眼薬を処方してもらいましょう。見え方が悪かったり、何か症状がある時には、早めに担当医に相談して不安を解消する事も大切です。定期的な検診を受ける事で、視力や目の状態を把握する事ができますし、目の病気に対する予防的なアドバイスを受けることができます。
何かの理由で通院が出来ない時には、担当医に相談してレーシックのアフターケアが出来る病院を紹介してもらいましょう。残念ながらすべての病院でレーシックのアフターケアができるわけではありません。
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