JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)レーシック情報

JSCRSの調査発表

国内でのレーシックの現状はどうなっているのでしょうか?

昨今の消費者庁からの注意喚起の影響もあり、レーシックの手術件数は減少傾向にありますが、今でも年間数万件の手術が行われていて、眼科の中では最も多く行われる術式の一つです。症例選択を誤らなければ、長期的な観点からも安全性や有効性が高いので、最も確立された手技の一つと考えられます。眼鏡やコンタクトレンズから開放されることは、患者さんの日常生活を考える上でとても重要なことだと考えられます。しかしながら、これまで日本国内でのレーシック手術の実態は包括的に把握されていませんでした。そこで、学会主導による正確な実態把握を行うことを目的として、JSCRSワーキンググループでは、2013年1~12月に行ったレーシックなどの屈折矯正手術の手術件数やその安全性、有効性、予測性、安定性、合併症、満足度についてアンケート調査を行いました。

レーシック手術の安全性と有効性を確認
  • 日本白内障屈折矯正手術学会ワーキンググループでは国内の42施設において7,622患者、15,011症例を対象にいたしました。
  • レーシックは全体の82%を占めていました。
  • 術後3か月における安全性、有効性、合併症について評価しました。
  • 術後の平均裸眼視力は1.41平均矯正視力は1.51、目標度数に対して±1D以内が96%でありました。
  • 術後感染症などの重篤な合併症を1例も認めませんでした。
以上の結果から、日本におけるレーシック手術は安全性や有効性は高く、予測性に優れた術式であり、他の報告と比較しても良好な結果を得ることが出来ました。

レーシックは本当に安全で有効な手術なのでしょうか?

アンケート調査の結果
  • 国内の45施設において71,089症例を対象にいたしました。
  • 裸眼視力1.0以上の症例が96%矯正視力1.0以上の症例が99%でした。
  • 予測性が±0.5D以内の症例が94%でした。
  • 屈折変動が1.0D以内の症例が97%でありました。
  • 術後の度数調整は0.23%に行われました。
  • 術後感染症などの重篤な合併症を1例も認めませんでした。
  • 非常に高い満足度を得ることができました。
以上の結果から、国内で行われたレーシックの安全性や有効性は高く、患者満足度も高い優れた術式の一つと考えられることが、第29回JSCRS学術総会(福岡)において発表されました。

以上の結果は、国内学会に留まらず、アメリカ眼科学会、国際屈折矯正学会の機関誌「American Journal of Ophthalmology®」および「Journal of Reflective Surgery」に掲載されました。

論文
※詳細は「American Journal of Ophthalmology®」、「Journal of Reflective Surgery」でご確認ください。

レーシックは世界的にも一般的な手術なのでしょうか?

レーシックは海外でも一般的に行なわれており、NASAやアメリカ空軍で、視力矯正手段として2007年から認められています*
過去のメタアナリシス1**によれば、レーシックでは97%の患者が裸眼視力0.5以上、62%の患者が裸眼視力1.0を達成したことが分かっています。

また、レーシックに関する世界中からの学術報告を解析した研究の結果が、眼科専門領域で最も権威のある雑誌の一つOphthalmologyで2009年に報告されています1

この研究は、1988~2008年に世界で発表された2915件の関連論文から、信頼性の高い研究309件を選択しておこなったシステマティック・レビュー(systematic review)2***です。その結果、全体的な満足度の調査では、平均で患者の95.4%(文献により範囲は87.2%-100%)がレーシックの結果に満足していたことがわかり、レーシックは他の手術と比較して、一般的に高い満足度をえることができる手術であるとの結論を報告しました。

注釈

*
詳しくはNASAやアメリカ空軍のサイトをご覧ください。
**
メタアナリシス(meta-analysis):複数の研究結果を統合し、分析するための手法で、根拠に基づいた医療(EBM:Evidence based medicine)において、最も質の高い根拠とされる。
***
システマティック・レビュー(systematic review):文献をくまなく調査し、質の高い研究のデータを、データの偏りを限りなく除き、分析を行うもので、根拠に基づいた医療(EBM:Evidence based medicine)で用いるための情報の収集と吟味の部分を担う調査です。

文献

  • Bailey MD, Zadnik K. Outcomes of LASIK for myopia with FDA-approved lasers. Cornea 2007;26:246 ‒54.
  • Solomon KD, Fernández de Castro LE, Sandoval HP, Biber JM, Gr oat B, Neff KD, Ying MS, French JW, Donnenfeld ED, Lindstrom RL; Joint LASIK Study Task Force. LASIK world literature review: quality of life and patient satisfaction. Ophthalmology. 2009 Apr;116(4):691-701.

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